令和3年度 文化芸術による子供育成総合事業 -巡回公演事業-

舞台芸術と子供たち
川野眞子(振付家・舞踊家)。ワークショップ講師、公演の舞台解説をつとめる。
令和3年度は、当初9月に計画していた公演が12月に延期となり
公演の実施に向けて根気強くご協力頂きました先生方々に、
この場をお借りして深く御礼申し上げます。
そして、感想文を書いて下さった方々へ。
感想文をありがとう!
後日、先生にまとめてお送り頂きました。
ダンサー1人1人が目を通し、みなさんの言葉に勇気づけられました。心から感謝申し上げます。
令和3年度・子供たちの感想文の特徴
「例年と違う」印象を感じました。
コロナ禍で悶々とした日々を過ごす子供たちにとって、「せっかくの機会を楽しむぞ」という心の準備や感度のアンテナも高かったように思います。見たものに対し、自分の気持ちを投影する言葉の数々・・・例えば、
「終始エネルギッシュでとても楽しそうにハツラツと踊っている姿を見ていて元気になれた。セリフが無くても歌とダンスだけで物語を表現されていてすごいなと思った。」
など、ダンス、身体表現の魅力、また、作品性の特徴を分かりやすく言い表しています。また、
「『さーかす』の世界に引き込まれる様で、まるで本当にその場に自分がいる様な感覚になった。」
など、舞台芸術の良いところを指しているように思います。さらに、
「1人1人が、すごい 楽しそうで個性があふれていてよかった。みんなが同じダンスや動きをしているなかでも、1人1人をみたら違う表情をしていたりして、見ていても、すごい 楽しむことができた。」
など、個性や多様性を認めています。このような感じ方が、実生活や社会に生かせればとても良いことだと思います。


感想の感想
「コロナが流行してから出かけたりするのが限られてずっと家の中とかで遠くに行って旅行とかできなかったので「さーかす」を見れてすごく感動しました。舞台とかを生まれてはじめて見たからきっと今回の見た演技は忘れられないだろうなと思いました。」


根気強く実施に向けて動いて下さった先生方々と出演者・スタッフと一緒にガッツポーズをしたくなる感想です。ままならないことがあっても柔軟に取り組めば還って来るものは大きい。
始めて見たけど、すごく見ていて元気つけられました。3年生になり受験のことで頭がいっぱいな中 おちこんでしまう日が多くありました。でも、今日のを見て、元気つけられて、前を向いてがんばろうと思いました。また、これから先、この今日流れた音楽をまた家でも聞いてみようと思いました。

作品『さーかす』は、明日を生きることに精一杯だった。戦後 貧しい時代の、庶民の生きる底力、心の息吹を、様々なシーンを通して描きながら「前向きに生きる大切さ」を踊りで表現しています。それを、いまの自分と照らし合わせて受け止めているところがすごいし、子供たちの眼差しの、あなどれないところです。
すごく元気で息ぴったりなダンスを見ることで 元気をもらえました。受験勉強でぴりぴりしている3年生からしたらとくに良い息ぬきの機会になったと思います。ダンスと光の融合があんなにマッチしているのもすごかったです。みているうちに目がくぎづけになってワクワクした気持ちになりました。最近あまりそういう気持ちになることがなかったので 中学校生活の中で絶対に 濃い思い出になったと思います。
受験勉強で大変な時に見て頂いてありがとうございました。息が抜けて良かったです! こんな状況ですが、何事もワクワクしながら体当たりでやり切ってください。
受験生のみんなにエールを!
「『さーかす』の世界に引き込まれる様で、まるで本当にその場に自分がいる様な感覚になった」
「1 人 1 人が、すごい 楽しそうで個性があふれていてよかった。みんなが同じダンスや動きを しているなかでも、1 人 1 人をみたら違う表情をしていたりして、見ていても、すごい 楽しむ ことができた」
作品性の特徴、舞台芸術の魅力、人間の多様性など、子供たちの言葉で言い表した方が分かり やすい。この純粋でストレートな感性にまっこうから向き合うことを大切にしています。
本番では、子供たちが作品の世界に入り込みやすいように、
要所要所で、舞台解説を入れています。
説明するためではなく、子供たちの感度を高めるために、
良心で、体当たりすることを心がけています。
例えば、
「芸術の良いところは、答えがひとつじゃないってことです。
見たまんま、感じたまんま、楽しんでくださいね」。
また、ある時は、シーンと絡めて、金子みすゞ の詩を通して
「みんな違って みんないい」と
感性や良心に働きかける・・・
子供たちの感想文に目を通し、みんなが作品を受け止めてくれていること、
双方向の、良心のやり取りが成立していることに、最も驚きを感じています。
子供たちの感想文に、お目通し頂ければ幸いと存じます。

